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初めまして…
人間の記憶と言うものは
一体どのくらい
さかのぼって
いけるのだろうか…
初めてペコちゃんに
僕が会ったのは
四歳なのか
五歳なのか
はっきりとは、しない
ただ保育園から
帰って来た僕は
家の中に見知らぬ
女の人が居て
そんな事は
僕の知る限り
初めての経験だったし
ただ ちょっと不思議
な気持ちだった。
その女の人は
僕を見ると
物凄い笑顔で
近づいてきた。
そして かがんで
僕の身長と同じ高さ
になって
こう 言った。
「初めまして
ペコちゃんって
言います。
ヨロシクね!」
僕は黙っていた。
ペコちゃんは
右手を出してきて
「ハイ 握手」と
僕を見た。
僕は たじろきながら
ペコちゃんの
手を小さく握った。
ペコちゃんから
桃の香りがした。
どうして
そんな事まで
思い出せたのか…
とにかく父親と
二人だけの生活で
甘い香りとは
関係の無い生活だったし
ペコちゃんは
桃の香りと言う
印象が残っていて
その香りは
その後
僕の大好きな香りに
なる訳で…
あの甘い白桃の香り
ペコちゃんの香り
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