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「お願いしていいかな。」
「うん、帰ったらすぐ話すね。
あと、嫌でなければ、うちの家族と一緒に食事しない?
一人の方がよければ無理にはすすめないけど」
僕は霞と温かい両親のことをもっと知りたいと思った。
うちは、親戚付き合い以外は閉鎖的で、よその家庭を知ることもなかったし、温かい家族に囲まれたいと思った。
「じゃあ今晩からお願いします。」
「良かった。一人部屋で食事するなんて寂しいもの。来た時からずっと気になってたの。」
僕は一目で彼女の虜になった。
彼女は僕が来た時から気にかけてくれていた。
嬉しかった。
でも、彼女と顔を合わせたのは今日が初めてで、
彼女が気にかけてくれているのは、お客として、閉じこもっている僕だ。
それ以上でない。
自分に言い聞かせた。
先のない恋心にブレーキをかけたのだ。
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