出逢い

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陽が回り少し寒くなったので、僕達は、見晴らしのよいその場所を後にして、もと来た道を戻った。 明日はまた別のところを案内してくれると彼女は言った。 「どこを案内しても何にもない変わり映えしないところだけどね。」 と付け加えて、、 宿に戻り部屋でゴロッとなる。 霞への気持ちを考えていた。 惹かれているのははっきりしていた。 でも旅先での想い。 その気持ちを伝えてもその先どうしようもないのだ。 そして、僕は将来のことも考えなければならない。 生活の為?そもそも働くって、どういうことだろう。 いずれは、誰かと結婚して、家族を養う為に働くという理由付けはできる。 医者以外の選択肢を与えられなかった僕は、何の為に働くのか、 または、好きなことを仕事にしたい。生活の安定の為に…。 そんな発想すらなかったのだ。 おかみさんに、風呂に入るように勧められる。 風呂に入りながらも、答えの出ない思考に捕らわれていた。
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