出逢い

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僕が風呂に入っている間に、霞が手伝いのこと食事を一緒にすることを両親に話したのだろう。 風呂から上がると、 おかみさんに、一緒に食事をしようと声をかけられた。 他の家族と食事することがなかったので緊張する。 当たり障りのない会話を探そうとしていた。 そんな様子を察してか、主が言った。 「家族だと思ってくれていいんだよ。うちはこの娘の他に兄貴がいてな。 東京で働いているんだが、まあ、だから、そいつの代わりって訳じゃないが、気楽にしてくれよ。 俺たちのことも、おじさん、おばさんって呼んでくれ。 長く居るのに堅苦しいのはお互い疲れるし…」 おかみさんは、具体的に手伝って欲しいことを説明してくれた。 霞は、今日出かけた場所のことを両親に話していた。 僕はとにかく「色々とありがとうございます。」と礼を言うばかりだった。 おじさんは 「いや、初めてじゃないんだよ。2.3年に一度くらいの間隔で君みたいに、ふらっと長く滞在する人はいるんだ。」と言った。 久しぶりに歩いたせいかおかわりを頼んだ。 おばさんは「そうこなくっちゃ若者は」と屈託のない笑顔で茶碗を受け取る。
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