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僕はやるせない思いをごまかして清水に手を入れる。
「冷たい。凄く冷たいよ。霞」
彼女は、霞と呼ばれて驚いた。
でも嬉しそうな表情だった。
いたずら心が芽生え、近づく彼女の顔に水をかけた。
「きゃっ」
彼女が驚いてバランスを崩す。
「危ない。」
僕は彼女の手を引き、彼女を支えるように抱きしめてしまう。
鼓動は早くなる。彼女の鼓動も伝わり益々緊張する。
「ゴメン。ふざけてゴメン。」
でも、僕の手は力が入り、彼女をしっかりと抱きしめていた。
彼女は俯いたまま小さな声で
「寂しくなるから、帰る時の話はしないで。まだまだ、いるんでしょう。」と、つぶやいた。
「うん…。」
僕は彼女をぎゅっと抱きしめて答えた。
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