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―――――――
ガタン、ガタン。
電車が揺れるたびに、俺の体は車体の壁に背中を打ちつけ、わずかばかりに痛みがそのたびにはしった。
そして今日何度聞いたか分からないほど聞きあきた、車内アナウンスに耳を傾けた。
「次は、終点の八神駅、八神駅。お忘れ物がございませんよう、ご注意下さい」
「やっと…。もう夜か」
乗っている電車のなかにアナウンスの声が響いている。乗車している人は数える程度にしかいなかった。
『扉にご注意下さい。ご乗車ありがとうございました』
「おっと、おりなきゃ」
ようやく目的の駅につき、ずっと座りっぱなしだったせいか固くなった腰をあげ荷物をもち、駅に降りた。
駅のホームは薄暗く、迎えは来ていないようだ。
「着いたって、電話しなきゃ…わっ!」
後ろから急に衝撃がきた。誰かに小突かれたようだ。
誰かと確認しようとするが、それよりも早くに小突いてきた人物は俺の前に現れた。
「お疲れさん。ここまで遠かったろ?」
「おじさん、急に叩かない下さいよ。ビックリするじゃないですか!」
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