朱く染まった世界

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感じたのは怒りと殺意だけ 私自信を繋ぎ止めていた糸は切り離され 感情に身を委ねることしか出来なかった 私を支配していた理性は簡単に消え失せ 何かを壊してやりたい その衝動だけが私を駆り立てる 手にしたのがどんなに大切で、重いものかさえ分からなかった 目に映ったのはただの薄い紙切れ だから思いっきり引き裂いた 何度も何度も… 再び理性に支配され 新しい糸が張られた時 周りは朱く染まっていた 全てが遅すぎた 私は後戻りも前に進むことも出来ず ただそこに佇んでいる 再び繰り返されるであろう現実にゆっくりと目を閉じながら
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