ボクハ・・・

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 居ても立ってもいられず、ボクは空を切って矢のように村へと飛んだ。 村が近づくに連れて、黒い煙が立ちこめてきた。人間の悲鳴も聞こえる。肉が焼けるようなにおいがする。 少女の身が心配で、ボクは燃え盛る炎の中に飛び込んだ。 ボクは夢中で少女を探した。 真赤な花弁が少し焦げた。 断末魔があちこちから聞こえてくる。炎は村を舐めるように焼いていた。 ボクはふと、一軒の家に視線を向けた。小さな横笛が戸に飾ってあった。その家からは女の叫び声が聞こえてきた。 ボクは本能的に、鋭く突き出た爪で戸を引き裂いて家の中に飛び込んだ。 そこには、炎に囲まれた、大人になっても見紛うことない、美しく成長した、赤毛で、黒目の、あの少女が居た。 ボクはすぐさま少女を両手に抱き、焼かれて崩れかけた家から救い出した。ボクの手の中で少女は泣き叫んで暴れていた。 火の手が届かないところまで少女を運ぶと、そっと少女を降ろした。 ボクが声をかけようとすると、少女はボクを突き飛ばして、こっちへ来ないで、この怪物!!と泣き叫んだ。 ボクは耳を疑った。 昔、ボクと一緒に遊んだのを覚えてないのかと尋ねた。 少女は両手をむちゃくちゃに振り回し、ボクを罵倒する言葉を吐き続けた。 怪物メ 汚ラシイ 私ニ触ラナイデ ナンテ醜イノカシラ 村ニ火ヲ放ッタノハオ前ダロウ コノ卑怯者 アア気味ガ悪イ 誰カ助ケテ 恐ロシイ怪物  ボクの胸を、悲しみと怒りと絶望が貫いた。 ひどくめまいがした。 目の前が真っ暗になっていった・・・
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