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「わっかりやす」
朝食の用意はメンバーの一番年上の絋の役目だった。
俺たちは5人組のVocalグループだから、当然もう一人居る。
「(笑)まったく」
最後がリーダーの勇。
この二人は同級生。
それから…
通りすがり際キスを交わす、俺達3人と同じ人種だ。
でも、俺たちみたいに複雑じゃないけどね…
んで、何が分かりやすいかと言うと…
あの後、紫唖と少し話をして添い寝で寝かしつけた俺は、寝付けずに作曲をはじめて…結局、朝になってた。
当然…頭も体もダルダルで、ダイニングテーブルについたはいいけど、突っ伏したまま動けない。
そして、俺の後ろのリビングでは、紫唖と磨久が勝目のわかっている言い合いをしてた。
「磨久のせいで魅樹動けないじゃん!」
「確かに身体に負荷はかけたかもしれませんが、寝ずに曲作りしてたのは魅樹であって、僕の責任ではないですよ、紫唖、ん?」
「で、でも、身体はお前のせいだろ!」
「自分が相手にされなかったからって、八つ当たりは、ん?違いませんか?」
「だ、誰が!俺はお前と違って…」
「はいはい、やめなよ…朝から見苦しい争いすんの。ご飯出来たし、2人とも、席についてよ」
絋がそう言うと、さっそくソファーから立ち上がり俺の隣に座る磨久。
紫唖はまだ、ゴニョゴニョと口の中で文句らしい?言葉を列べ続けてた。
「大変だな、魅樹」
勇が笑いながら言ったから、黙ってコクリとすると、反対隣に腰掛けた紫唖が俺を覗き込んできた。
「大丈夫?」
「んぁ~…、紫唖~」
「何?」
「面白い顔」
「な!もう、知らねーっ!好きにしろ!!」
「(笑)ごめ~ん」
俺達の関係は…身体を抜かせば、はた目には親友同士のじゃれあい。
あ、心も抜かした方も良いのかな?
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