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何より、自分の姉と妹も一緒に西国へ向かったのだろうから、追い付かねば。 「……」 …不安もなくはない。 貴族のように振る舞う一族の者達を兵らしくありたい父が良く思っていなかったり、昔色々あったりもして、本家とはそう懇意にしていなかった。 一族の中での地位も、俊孝は高い部類ではない。 …敗戦した今は、少しでも味方が欲しいはず。追い返しはしまい。 悩んでいても仕方ない。 俊孝は寄り掛かるのをやめた。 直垂の胸紐を切り取り、それで髪を上で一つに束ねた。 手にしたままだった夕焼を、紐で腰に下げる。 とにかく行くだけ行ってみよう。今ならまだ、追い付くかもしれない。 追い付いた後のことは、それから考えればいい。 今、自分に出来るのは…。 俊孝は、源氏の陣が下にある場所に近付く。 「…よし」 目当てのものを見付けると、口の中でそう呟いた。 あそこまでなら、辿り着けるだろう。 俊孝は武者の少ない場所を選び、慎重に崖を下りて行った。 ◆◇◆ 物陰に隠れながら、人がいないことを確認しつつ、目当てのものに近付いて行く。俊孝の視線の先には、一頭の馬。幸い、鞍もまだ付けたままだ。 徒歩で行くより馬を使った方が断然早い。 それを考えての行動だった。 慎重に近付いて行く。
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