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「帰れば色々と面倒になるかもしれないのは、わかってるけど…でもね、考えたの。やっぱり、わたしは、母様に会いたい。たまには顔を見に帰りたい。それに、きっと母様だって、わたしの顔、見たいはずだもの」
「…そうか。良い選択だ」
「それに気付かせてくれたのは、延寿よ?…ありがとう」
そう言って、光風は微笑んだ。
俊孝はそれを見て、心臓の高鳴りを感じた。
照れて頬が赤く染まる。
「どう…致しまして」
「顔、赤いけど、大丈夫?」
「え!?……だ、大丈夫だから…笑わないでくれ!」
「だって、ふふふっ」
光風が面白がって笑うので、更に俊孝の顔が羞恥で赤くなる。
頬が熱くてしょうがない。
「…それで、また、何処かに行ってしまうの?」
俊孝の頬の赤みが引いた頃、光風が口を開いた。
「いや、その…都に来るのは、久々だし、色々見ておきたいなー…なんて。だから、またしばらく歩いて来る」
「ちゃんと帰って来てね。…貴方のこと、母様にも紹介したいの」
「うん………え?」
…聞かなかったことにしよう。
「そういえば、朝日や夕陽は?」
「もうこっちに来ているんじゃないかしら。母様に、わたしが都に来てるって知らせてると思うわ」
「ふぅん。…じゃあ、その、…後で」
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