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焦げ臭いにおい。 心なしか暑い。 きっと、火を放たれたんだ。 太刀は折れ、矢も前(さき)の戦で既に尽きた。 これまでか…。 彼はこれからの自分の運命を自ずと感じた。 「…俊孝(としたか)」 父の声に少年はそちらを向いた。 大鎧を着た少年である。だが兜は外しており、その長い黒髪を背中に流すように垂らしていた。 「何でしょう、父上。自害の覚悟なら既に出来ております」 そう言って、俊孝は短刀を取り出した。 しかし、父の質問は予想していたものとは全然違うものだった。 「そなたは、今年で幾つになる」 「…え」 予想しなかった質問に驚きながらも、俊孝は自分の歳を告げた。 「今年で十七になります」 「そうか」 父は、腰に下げていた太刀を外して、俊孝の前に置いた。 赤漆で塗られ、金箔が随所に貼られた綺麗な太刀である。 「これは…」 「持って行け」 父の言葉に驚いて、俊孝は太刀に行っていた視線を父に向けた。 「そなたの太刀は、前の戦で折れてしまったのだろう?」 「ですが…」 父は、何故此処で太刀を自分に与える? これじゃあまるで。 形見じゃないか。
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