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どうしたものか…。 「…?」 夕暮れで暗くなっている中、明るい場所が見える。 …とりあえず行ってみよう。 俊孝は、気怠い体を押して、そちらへ近付いて行った。 明るくなっているのは、崖の下だった。崖とは行っても、それ程高さがある訳ではなく、大体家の屋根から地面までくらいの高さであったが。 「…!」 息を潜めて、そちらを覗いて見ると、夕闇に白くたなびく旗が目に入った。 白い旗と言えば、源氏のもの。 どうやら、源氏が陣を張っているらしい。 鎧を着た武者の姿もあちこちに見える。 俊孝の拳が強く握られた。 奴等に、俺の一族は…! 前の戦の相手も源氏だった。 そして、その戦に負け、逃れてきた俊孝等の屋敷を攻め、父を自害に追い込んだのも、また源氏だった。 できることなら、斬り込んで行ってやりたい。 だが、こんな大勢の武者の中へ飛び込んで行くのは、犬死にをしに行くようなもの。 此処は抑えろ、自分。 さもなくば、父が助けてくれたのも、無駄になる。 「…見つかったか」 武者達の会話が聞こえて来た。 念のためと、俊孝は耳を澄ませて内容を聞いてみることにした。
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