隙間風(日直)

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『音無さん!音無さん!』 アイツの声を聞くたびにムシャクシャする どうせ、振り向いてもらえないのに 可愛らしく従順に音無に話し掛け、纏わりつく それに反応しない音無もどうかと思うけど あぁ…ムシャクシャする 誰に対してかは解らないけどさ って言うのは卑怯なのかもしれないな 「おい、貴様…何をぼやっと突っ立っている、邪魔だ」 あぁ…解った 憎たらしそうに俺を見上げるコイツ… 直井に対してムシャクシャするんだな 多分…理由は…… 「お前なぁ…そんな忙しく態度変えてたら誰かに隙をつかれるぞ?」 「は?意味が解らない…とりあえず邪魔だ」 「へいへい」 去る背中を見て、小さく笑った アイツの油断と言う名の心の隙間に入り込んでやろうかな、と あぁ…俺って何だコッチだったんだな 笑える 「何か俺…アイツの事好きみたいだな」 ―て事で俺は邪魔な隙間風って訳か―
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