21人が本棚に入れています
本棚に追加
「…まぁた、本か」
「…」
シカトされる
このやり取りは何回もした
今日1日。ずっと機嫌が悪いらしい
いつもなら、「煩いぞ愚民」と言うハズだし
それに、本のページ数も変わっていない
珍しいのかは解らない
前にもこんな事があったからな
「また音無に無視されたかぁ?」
「…っ」
あ、反応した
つまり…図星だ
彼奴(音無)は皆の前だと直井に冷たい
特に、彼奴の気が立っていたりすると酷く冷たくなる
多分…一番近くに居る直井に当たってしまうのだろうけど
直井と喧嘩してる俺だってそんな事しねーぞ、多分
「全く…音無も酷い奴だな…構ってやれば良いのに」
「……ぉ…音無さんを悪く言うな」
喋ってくれた
よし、良い感じだな
「悪い悪い…」
「…」
あれ?また無視ですか?副会長サン?
こうも直井に無視を決め込まれると直井の気持ちも解る気がする
構ってほしい
寂しいだけなんだって解る
なのに、避けられる…そりゃ、辛いだろうな
「直井…」
「…!?」
共感からか思わず抱き締めてしまった
うわ、誰かに見つかったらコッチ扱いだな
直井は必死で俺から逃れようとしてる
けど…離してやるか!いてぇんだよ!!
「いだだだ…お前も辛かったろうなぁ…俺も良く解るぜ」
これは事実
だって…直井は俺に冷たいから
直井は今の言葉で動きが鈍くなった
少しはコイツの心に響いたようだ
「きっとさ、音無も悩んでんだよ…だからさ、それを解消してやれば良いんじゃねーの?」
「…愚民が」
直井が一瞬、ゆるゆると頷いた
言葉は愚民だけど
コイツはコイツでちゃんと感謝してくれてる
だから俺はコイツを憎めないのかもな
俺は直井から離れると気まずいからちょっと離れた所に座る
直井は固まってる
「直井…ッ!!」
「Σうおぅ!?」
「あ、すまん日向」
王子様の登場だ
直井も泣きそうな顔で音無を見上げる
え?待て、泣きそう…?
俺が原因!?
「ごめんな…文人」
「いえ…」
「…で?日向……何で文人は泣きそうなんだ?」
あー来た…
此処は嘘半分真半分で…
「あの…ぉ、音無さん……日向は…愚民は…僕を励ましただけで…僕は…音無さんが居なくて寂しくて…」
え…?
これって…
俺…まさかの脈アリ!?
「そうか…悪かった日向」
「あ、いや良い」
「ただ…愚民が僕をぎゅって……」
ああああああ!?
何て事を!
「ひ~な~た~…」
「あ!俺、ちょい用事!あはははは!」
脱兎の如く逃げ出す俺
覚えてろよ…直井!
最初のコメントを投稿しよう!