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時刻は夜の11時を過ぎた頃だ。
温暖化の影響なのか、
4月だというのに
昼間はグングンと気温が上がり
真夏のように蒸し暑かった。
夜になった今も名残の生暖かい風が吹いている。
絵美はアパートへの道を歩き出した ―――
それにしても、
自分があんなに田舎者だったとは・・・
大学の入学式の時は
誰も普段の私服を着て来なかったので
わからなかったが、
大学に初めて通学した時に
皆のルックスを見てビックリした。
ファッション雑誌でしか見たことがないような服装に、
洗練されたメイク。
身に付けているアクセや
持っているブランド品のバッグに、
漂ってくる高級品の
香水の香りまで ――
田舎の高校生時代には
あり得ない光景だった。
皆が私より輝いて見える。
私より華がある。
私なんかよりずっと
可愛くて綺麗だ・・・
地元からこの大学に
進学したのは自分だけだったので、
知っている子も一人も居らず、
絵美はどうしようもない孤独感と疎外感に陥った。
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