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ザワザワ……
会場がざわめき出す……
私は緊張からか、ピアノを前に体を震わせていた……
いっぱい練習してきた曲だ…
間違えることなんて考えられない……
でもこの時の私は頭が真っ白だった……
会場には私…まだ7才だった音羽愛梨亜(おとは・ありあ)のピアノを聴きに世界的ピアニストと呼ばれる面々や音楽の世界に携わる有名人が数多く来ていた。
全員、私の父親が呼んだ人達だ…
その場で私はピアノを前に氷付いていた。
「どうした!なぜ弾かん!アリア!」
舞台袖からの父親の声にビクッと震える私……
やだよ…
こんな雰囲気の中で弾きたくないの…
お母さんがいた頃はこんなんじゃなかった……
恐い……
誰か…助けてよ……
「おいおい……」
会場から呆れたような声と失笑が上がる。
私は……
緊張のあまり……
ステージの上で……
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