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ピアノが好きだった…
お母さんが生きていた頃は毎日のようにピアノを弾いていた。
自由に楽しそうにピアノを弾く私と妹のカノンを、お母さんは嬉しそうに微笑んで見ていた……
愛梨亜(アリア)と歌音(カノン)はピアニストだったお母さんがつけてくれた名前だ。
お母さんが生きていた頃…
確かに我が家には笑顔が常にあったんだ……
お母さんが亡くなったのは私が小学2年の時…
お母さんが亡くなり、お父さんは変わってしまった…
悲しみにくれる私や妹のカノンに毎日のようにお父さんは、ピアノの特訓をした。
特訓?…………特訓なんて生易しいものではなかった…
長時間ピアノを前に座らされ、朝起きてから、深夜まで、わずかの食事休憩を取るだけで、毎日…毎日気を失ってピアノに倒れこむまで、お父さんの特訓は続いた。
泣きながら、何度も止めたいと言う私をお父さんは許してくれなかった…
私にとって、お母さんが優しく微笑んでくれるピアノは、いつしか嫌悪の対象となっていた。
そして…あの事件が起きた…
お父さんが私にどんな期待をしていたのか、私には解らない。
しかし、お父さんが私に用意した舞台は大きいものだった…
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