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「はぁ…」
いつも通りの昼休み。
憂鬱な顔で溜め息をつきながら僕、早川勇人(はやかわ はやと)は教室に入った。
「お、やっと来やがった!早くパンよこせよ、ジミー」
「う…うん」
僕は気弱な返事をして、ガラの悪いクラスメートに持っていたパンを渡す。
ジミー…僕が地味だからついたあだ名だ。
高校に入学して半年…速攻でついたあだ名を受け入れつつある自分が悲しい…。
「そういや、明日転入生が来るらしいぜ。女だってよ!」
「そうなんだ…」
何やらニヤニヤしながら話すクラスメートに僕は曖昧な返事をした。
女の子かぁ…まぁ、僕は相手にされないだろうから関係ないや。
悲しくなりつつ僕はその日を過ごした。
次の日、朝から先生が女の子を連れて教室に入ってきた。
「月宮流那(つきみや るな)です。よろしくお願いします」
女の子はそう名乗って頭を下げる。
なんだろう…綺麗だけど少し冷たい感じがする女の子だなぁって思った。
笑ったらきっと可愛いだろうけど…クールな感じの彼女は笑顔から程遠く思えた。
「じゃあ、月宮の席は…早川の隣だな」
そう言えば僕の隣の席が空いていた。
月宮さんは僕の隣の席に着くと軽く頭を下げて、
「よろしく…えっと、早…?」
「早川です、よろし…」
「良かったな、ジミー!」
僕が挨拶してる途中で入るクラスメートの声に月宮さんは戸惑いながら僕に訪ねる。
「…え?ジミー?早川ジミー君って言うの?」
教室、大爆笑。
ワケがわからずキョロキョロする月宮さんが可愛く見えた。
「あだ名だよ…僕が地味だからさ」
「あ…なるほど。よろしくね、ジミー君」
言って月宮さんは微笑む。
思った通り、可愛い笑顔だ。
僕は嬉しくなってこれからの生活に期待を抱くのだった。
これから大変になると少しも思わずに…。
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