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学校への道を悠々と歩いているとふと臭いが嗅覚をくすぐった。
歩道の端。恰幅の良いおじさんが草刈り機で雑草を刈っていた。臭いの正体を発見した。
ギザギザのソーに巻き込まれた雑草が霧散して、周囲に草の臭いを発生させていたのだ。強烈ではないが、どちらかと言えばくさい。
鼻を摘んで、俺は早足に通り過ぎる。通り過ぎた後、幼い頃に草刈り機を使った悪戯を思い出して笑った。HAHAHA!と、アメリカ人みたいに。巷では(米笑)と呼ぶらしい。
蝉時雨を全身に浴びながら、俺は無事に登校を成功した。しかし、門を超えても他の生徒が見えない。
「ありゃ、早く来過ぎたかな?」
不思議に思い、本日初めて時間を確認する。時計は午後二時を指していた。・・・遅刻だった。
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