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あっという間に放課後。というのも遅刻してきたからなのは言うまでもない。
もう既にクラスメイト達は下校している。斎藤は寝ていたけれど。誰か起こしてやれよ、可哀想に。
「さてと、俺も行こうかな」
さも言う俺も斎藤のことは放っておくことにした。この程度の事態で傷つくほどこやつは優しい世界を生きていない。異端だったからこそ強くなければいけない、ならなければいけない。その必要性は絶対だ。俺もそれなりに理解出来る。
斎藤に敬礼しながら教室を出た。廊下歩く。その最中、見知った後ろ姿が見えた。
恵ちゃんだ。
心が騒いだ。うずうずと。憎らしいほどに愛しい、好きだった女の子。今でも、焦がれている。この衝動に嘘はない。本能から、本質から来るものだ。
幼い頃から仲良しだから、幼なじみ。端から見た俺と彼女の関係は精々仲の良いお友達って感じだろう。けれど俺は一線を超えたいと画策しているのだ。故に俺は、
「はいや」
無音で近づき、女性の唯一にして絶対の城壁であるスカートを崩壊させた。俗に言うスカートめくりであり、正式名称ラストジハード(最後の聖戦)と呼ばれる神聖な戦いなのだ。
俺の指戯によって重力に逆らったスカートは宙を舞い、その内に内包している小宇宙が露見する。
目に優しいライトグリーンだった。
「っ!?」
彼女の身体がビクッと震える。そして振り向く。顔面を歪ませて、俺を睨んでいた。俺はどことなく興奮した。
「いやー、いやらしい風だったね。最大瞬間風速はどれくらいだったのだろう?」
密閉された廊下で俺は日和ってみた。理由は勿論、面白そうだからだ。
「ふっ、てりゃーーー!」
「ぶふっ」
殴り蹴られた。しかも、正拳からの後ろ回し蹴り。吹っ飛ぶ、痛い、そして気持ち良い。マゾだから。
「いきなりなに?嫌がらせ?最低ね。・・・あたしが嫌いなら無視しなさいよ。いつもいつも、迷惑なのよ」
淡々と彼女は語る。先ほど覗かせた感情は既にない。冷たい言葉だった。
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