I don't like monotone world

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生み出された時から、おれは1人だった。 人に望まれもせず、ただ兵器として生かされ、世界を見ていた。 そこに、キミが現れた。 あいつが連れてきたキミは元気で、無邪気で、人を疑うことを知らない……そんな人間。 キミが“リダ”と名乗ったから、おれは“ルダ”と名乗ることにした。 空に瞬くジェミニのように、いつでも側にいたかったから。 兵器に名前がいらないのなら、おれはキミの前では人間になる。 誰よりも近くでキミを守るよ。 「ねえ、ルダ」 呼ばれて振り向くおれに、キミは笑顔で話しかける。 「絶対、世界に色を取り戻そうね」 そんなことは出来ないと知っていながら、おれは頷く。 大切なキミを悲しませないように。
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