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「さえちゃん……?」
そっとドアを開けて中を覗くと、玄関先には冴子の姿がない。
だが、すっとその先に視線を移すと、廊下の奥で座り込む冴子がいた。
何をしているか、聞くことも出来ず千絵は言葉を飲み込んだ。
そこにいるのは冴子だけではなかった。
彼女の座り込んだ膝元には、男が一人寝転がっている。
そして、どうしてその格好をしているのかは、すぐに分かった。
冴子が先ほどとは打って変わって血の気の引いた顔で千絵に左手を伸ばす。
もう一方の手には、光る物が握られていた。
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