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「どうして、そんな……」
「早く!ドア、閉めて!!」
悲鳴のような冴子の声に、千絵の心臓が痛む。
あまりに日日常的な行動に、のど元に何かがせり上がってくる。
「え……何が、あったの?」
玄関のドアを閉め、思わず玄関に靴のまま上がり込む。
千絵の先にいたのは、冴子と、見たこともない初老の男性だ。
ちょうど千絵の父親と同じくらいだろうか。
冴子はその男の元にひざまずき、その手に持つナイフの柄をタオルで拭っている。
「証拠を……証拠を消さなくちゃ」
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