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「どうしよう!どうすればいいの!!」
すでに誰かに監視されているような妄想にとりつかれ、千絵が声を荒げる。
「だから、こうして指紋をとっているんでしょう!たとえあの女が何かをしても、親戚中が迷惑するのよ!!」
冴子が、千絵以上の大きさで叫んだ。
そして、唖然とする千絵の手に握られた携帯から、聞き慣れた声がする。
「千絵?終わった?何か分かった?」
母親の絢子である。
通話終了のボタンを押すわけにもいかず、耳に当てる。
電話の向こうでは、絢子がさらに質問しているが、千絵の耳には入らない。
どう説明しようかと迷っている時だった。
ついに、恐れていたことが起こった。
玄関のドアが開いたことに振りかえると、そこにスーツを着た長身の男が立っていたのだ。
「あんた達、人の家の玄関先で、何やってんだ?」
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