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家を出て、コンビニでお茶を買う。 ほんの数口で十分だ。 それ以外は蓋を閉めて鞄に突っ込んだ。 ほとんど水を飲まない体質の千絵は、朝買った飲み物をその後飲むことなく鞄に入れっぱなしにしてしまうこともある。 だが、今日はいつも以上に喉が渇く。 慣れない場所に行くので緊張 しているのだろうか。 かつて通い慣れた高校の前を通り過ぎ、千絵はその奥にあるパン屋の角を曲がった。 朝の仕込みの時間か、ちょうど焼きたてのいい香りが外に漏れている。 それに鼻をひくつかせていると、お腹が静かに抗議の声を上げた。 朝ご飯は食べる時間がなかったのだ。
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