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それをどうにかごまかして足を速める。 約束の時間に遅れないようにしなければならない。 千絵は肩から提げた鞄の取っ手を握りしめると、その誘惑を断ち切った。 しばらく歩くと、目の前に小さな五階建てのビルが現れた。 電話で住所を聞いた通り、周りが住宅ばかりのため比較的分かりやすい。 決して新しい建物ではないが、綺麗な看板も出ていて、千絵も安心してその中に入った。 自動ドアの先には、エレベーターへとまっすぐに続く廊下、そしてその脇に一階のテナントが覗けた。
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