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「大変だったな……」
「うん」
あの日、玄関の奥で佇む冴子と千絵の前に現れたのは、殺されていた男である主人の息子だった。
「まぁ、入れよ」
透明の自動ドアをくぐり、千絵は清水の後をついて社内に入った。
思っていたよりも綺麗なそこに驚きながらも、あちこちに物珍しさから目を走らせる。
机の数は8個。
だが、そこに座ってデスクワークをしている人間はいない。
「こっち。入って」
フロアの奥には個室へ続く廊下があった。
そのどのドアにもプレートがかかっており、そこには面談中の文字がある。
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