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きらりと光る先端が、待っていたかのように顔を出した。
太陽の光が反射して、寝ている女が顔をしかめる。
それさえも小気味よくて、千絵は口元に笑みを浮かべる。
もう憎む内容も忘れてしまった。
誰も話題にすることもなく、存在自体を避けるように、日々はゆっくりと流れていく。
これが、千絵のけじめでもあるのだ。
ゆっくりと柄を握り、先端をベッドへと向ける。
これは勢いが肝心だろう。
心に迷いがあれば、おそらく自分が後悔することになる。
しかし、その心配も千絵にはない。
この瞬間を夢見て、今まで生きてきたのだ。
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