プロローグ

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手首ほどまでしか見えないので、それが幽霊のように君が悪い。 そのままにしておこうと思ったのに、女の取った行動で、千絵が素早く身を翻す。 女が、枕元に置いてあるコップに入った水を取ろうとしていたのだ。 千絵はそれより数秒早く、コップを取り上げる。 「飲んじゃだめでしょ」 千絵は、ゆっくりと甘えるような声で言う。 それが言葉に反するほど忌みじい行為だとは、千絵自身分かっているはずだ。 だが、人間は自分の犯した罪は、大小様々とはいえ必ず返ってくるものだということを、千絵は思い知らせてやりたかった。
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