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「え~、では。魔術教室を再開します」
「今度はちゃんと教えてくれるんでしょうね、謡手(ウタイテ)?」
「さあソウシ?今度逃げたら……炎熱閃光」
「わわわ分かったから!……じゃ、さっき俺とケイトで調べてきたんだが、多分今までの基本魔術を改良出来るぞ」
「え、どうやって!?」
「まぁ見ててくれ……そらっ『ウォーター・バレット』!」
右手を中庭の的に向け、術を唱える。すると、見る見るうちに手のひらに水の固まりが形成され、マシンガンのように連射された。的に当たった水の弾丸は、跡形もなく的を粉砕する。
「は……」
「え……」
「……『ウォルタ・バレット』って、こんな威力高かったか?」
「「今のが初級魔術!?」」
そう、この『ウォーター・バレット』は、元々初級魔術の『ウォルタ・バレット』だ。正しい語を使うだけで、こんなに威力が上がるとは……。
「わ、私も!えと、えと、『うぉーたぁ・バレット』……?」
疑問系で紡がれた術式は、フランの体を駆け巡り……。
ぷすんっ。
「はぇ?……うぅ」
「ふふん!今度は私の番ね!『うぉーたぁ・バレット』!」
ぷすんっ!
「なんで私たちにはできないのよ!」
「あれ……何でだ?ケイト!」
「うぃ……って俺水属性使えねえ!」
使えねえ……あ、そういえば。俺もケイトも、『ウォーター』から水をイメージできるからか?
基本魔術の術は、古代魔術とは違い深い理解などは必要ない。だが、術に対する正確なイメージが必要だ。『ウォーター』=水ということがイメージしにくいために、使用できないのかもしれない。
ならば、古代語をしっかり意味まで教えれば、古代語に確固たるイメージが沸くのではないだろうか。
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