創詩の魔術教室

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「うお、アルタイナもやるなぁ」 「フラトナーダに比べると見劣りするけど、姉様くらいの威力は出たわ!すごい……言葉を一つ変えるだけで、こんなにも違うなんて、姉様には言えない……」 確かに、今までを努力で築き上げてきたレムリアに、言葉を一つ変えるだけで追いついたアルタイナからすれば、良い気はしないだろう。 だから、この古代語基本魔術は、この2人とレンシアたちにだけ教えるつもりだ。軍属の人間に教えれば、その教えた方の側に戦局は傾いてしまう。それは些か卑怯だし、プライドの高い魔王軍も良しとはしないだろう。 あくまでも、姫姉妹2人は自衛のため。俺やレンシアたちは魔国に居るとは言え、立場は中立だし、問題ないはず。 まぁ、敵がとんでもなく多い俺たちだ。これくらいの切り札はあってもいいと思う。 「そういや、ケイトはどうするんだ?」 「ん?どうって?」 フランとアルタイナが夢中になって練習している間に、俺はケイトに尋ねる。質問の意味が分からないのか、茶髪が掛かった目からは困惑の色が伺えた。 「俺ら、しばらくしたらまた旅に出るんだよ。今、魔国の整備班が急ピッチで大破した飛行挺を直してるから、それで世界を回るんだ」 「……またエラく急だな。それも『世界の再生』とやらのためか?」 「それもあるけど、ソルデア王国が滅びただろ?レンシアやリーガル、勇者にラミアの故郷なんだよ。だから心配らしくてな」 キリアはコートポレイトのロエベ出身だし、俺はこの世界の人間ですらない。関係ないって言ってしまえばそれまでだが、俺たちは仲間だ。仲間を助けるのに、理由なんかいらない。
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