勇者も魔王もかなわない

創詩の魔術教室

｢だが、そんなに簡単に上手くいくとは思えないのだが……｣

｢それでも、このままずっと戦争しているよりはマシだよ！飛空挺で世界を回って、難民とかの救助をする方が有意義だろ？それに、例え俺の予想が外れて、この戦争の裏に何もないとしても、何かしら動くことは無駄にはならないはずだ！｣

唸る２人に、俺はもう一息だと感じる。ここはフランの家庭教師の責任をとって、あれを２人にだけは知らせておこう。

｢実は、フランとアルタイナには、古代語基本魔術を教えた。あえて名前をつけるなら……古代語魔術(ﾛｽﾄﾏｼﾞｯｸ)と言ったところか。あの２人の魔術なら、経験の差も含めてレムリアと互角に戦えると思う｣

いや、互角どころか……フランなら圧倒出来るかもしれない。あの子は才能があるし、あの膨大な魔力に耐えられる術式を手に入れた今、かなり強くなる。

｢なんだって!?｣

｢古代語魔術……古代魔術(ｴﾝｼｪﾝﾄ)とはまた違うものなのか？｣

｢ああ。古代語魔術の方は、基本魔術の強化版みたいなものだな。発動に必要なのは想像力と魔力だけだろ？古代魔術は、それに理解を加えるから、難易度からいって違うはずだ｣

フランは一部の古代魔術(炎熱閃光や神の息吹き)は使えるんだよな。このことから、魔力が大きすぎて簡単な術は扱えないことに気付いたんだ。