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「あとはフラン自身が鍛錬すれば、世界でも最高峰の魔術師になるのも夢じゃない。俺に出来ることは全部やったぞ?」
「バカな!最高峰の魔術師だと!?そんなものにすれば、フラトナーダは戦いに駆り出されるではないかぁ!!」
あ、忘れてた!コイツ根っからの親バカだったんだ!
「確かに僕も、フラトナーダに強力な力を持たせ過ぎるのは反対だよ。あの子は優しい子だ……強い力を持てば、民を守ろうと戦うだろう。そうなったとき、敵を殺して罪悪感に苛まれるのは目に見えている」
……!そうか、俺は見当違いのことをしてしまったのかもしれない。フランの性格を少し考えれば、分かることだったのに。
アルタイナは大丈夫だろう。あれで賢いところがあるし、力に呑まれるような精神力もしていない。だが、フランは賢いとは言えまだ幼い。力を持つ者の責任感から、民のために力を使うのは躊躇わないだろうし、そうなれば敵に対する罪悪感で壊れてしまうかもしれない。
「だから、フラトナーダの側に居て、支えてほしいんだ。もっとも、僕としても友人兼好敵手が居なくなるのは、寂しいからさ」
「ワシらもどうしてもとは言わん。だが、ソウシに留まってほしいと思うのは、どうしようもないのだ」
「……そうだよな、悪い2人とも。少し浅はかだった」
本当に迂闊だった。ただ、俺が居なくなったときに、フランが自分の身を守れるようにとしか考えてなかったんだ。その先を見逃して、仕事を終えた気になっている。何が家庭教師だ。
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