3/7
前へ
/139ページ
次へ
・ ライヴハウスの搬入口にワゴン車を横付けして、機材を運び入れて行く。 ヘッドアンプや、シールドの詰まったケース、シンバルやサブギター。 様々な機材は自分で歩いてくれない。 全てをメンバー達で持って、地下へ続く階段を降りて行く。 運び入れたあとは、ライヴハウスのスタッフさん達に挨拶して、楽屋に入る。 今日は4バンドが出る。 リハは4時から、俺達の出番は3バンド目だ。 「ロバート、今日は逆リハ~?」 光井は酒を取られて元気が無い。 「ノー、出番通りだよ」 俺と耕輔、サンタは楽器の弦を変える。 「晃、ペンチ貸して」 「ほい」 「晃、弦貸して」 「ほい」 「晃、金貸して」 「無い!」 光井は手を引っ込める。 「晃、女の子連れてきて」 「自分で行け!」 春人は本当に楽屋を出て行った…。 内田さんが静かだと思ったら、俺達の曲を聴いているらしい。 好みの音だったらしく、ニヤニヤしている。 正直、気味が悪い。 でも、この社長が気に入った曲は、客にも反応がいい。 弦を変え終わる。 張りたての新品の弦の感触。 なによりも心地よい。 「そろそろ、リハ始まるよ」 「じゃ、春人呼んで来るよ」
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加