52人が本棚に入れています
本棚に追加
/139ページ
ダメだこりゃ…。
ミーティングの翌日の放課後。
授業が終わって、すぐに軽音部部室に来ていた俺は、珍しく早く来た光井の姿を見て、呆れた。
「光井、聞かせてくれ。まず、なんでパジャマなんだ?そして、どうしてそこまで酔ってるんだ?」
そう、光井は学校であるにも関わらず、青いパジャマを着て、枕を抱いている。
完全なる寝起きだ。
おまけに見事なまでに酔っている。
よく教師に見つからなかったものだ。
「ジャズ研で呑んでたらさ、眠くなってきて…」
「いつから寝てた?」
「9時くらい」
「ほとんど1日じゃねぇか…。家か学校は!」
「あのさ…」
「何だよ?」
「布団畳んできていい?」
「…持ち込んだのか?」
「うん。羽毛布団、高かった」
俺は手近にあったスコアの角を、光井の頭目掛けて降り下ろした。
光井はのたうちまわっている。
へこんだスコアの角を気にしていると、他のメンバーが揃って入ってきた。
「どうした光井?」
春人が光井を除きこみ、サンタは光井の頭をつついてやっている。
耕輔はいたってクールで、俺に視線を合わせる。
「晃、歌詞書いた?」
「なんとかな」
「やっぱり早いね~」
春人が手を出す。
俺は、鞄から歌詞を出して渡す。
「ロバートはまだ?」
聞きながら、耕輔はソフトケースからギターを取り出している。
ギブソン、レスポールスタンダード。
レッドサンバーストの綺麗な虎目が、太陽の光を反射している。
「なんか、工具とか取りに行くとか言ってたな」
「ちょこっと音出しとくかい?」
光井がドラムキットのチューニングをしながら聞いてくる。
「いいね、久しぶりだし。」
ストラップを肩にかける耕輔。
それに続く、俺とサンタ。
アンプの電源をいれて、光井がカウントを入れるのを待つ。
最初のコメントを投稿しよう!