始まり

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今日はいつもと違う雰囲気が流れていた―。 一週間前に担任から転入生がくると伝えられていた。 そして今日、いよいよ転入生が来る。 クラスの人達がざわめいる。 転入生なんて初めてでもあるまいに…。 だけど、私もそう…。 いつものくだらない閉塞感がない。 変な緊張。 福袋開ける前みたいな…。 理由はわかっている。 転入生が楽しみなのだ、私も…。 朝礼が終わり、各教室に戻ったところで担任の落合先生から紹介があった。 「今日は転入生を紹介する。ほら…早く入りなさい」 「ん~」 その返事とともに現れたのは、ボサボサの赤みがかった髪…容姿は良いのだろうが、寝起きのような格好が総てを台無しにしている。 背はそれほど高くない。女子にしては高い私の身長とさほど変わらない。 第一印象は…猫…かな?と感じた。
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