1:僕の私の教祖様

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  「すみません、少しお時間をよろしいですか?」 「え?」  コンビニから帰る途中、近くの公園を抜けようとした私は突然何者かに呼び止められた。  何かのキャッチだろうか。  最近宗教の勧誘が増えてるって話だし……。  振り返った先にいたのは、やたらと華美なスーツを着飾る男。伊勢丹の紙袋みたいな感じ。  男性をもう一瞥すると、知的な紫縁の眼鏡に、胸元には神々しさすら感じる光沢を放つバッジ、なんとなくインテリぶってる顔立ちをしてる。 「はぁ、まぁ……少しだけなら……」  ただ雑誌買いに行っただけだけど、ちょっと危ない感じなら、すぐに逃げよう。 「あっ、このバッジですか、凄いんですよ、LED内臓なんです、神々しいでしょう?」 「へえー、そうなんですかー」  知らねぇよ。わざわざ光らせる意味も。  取り敢えず私達は公園内のクレープ屋があるテラスのベンチに座り、彼の話を聞くことにした。 「何か食べます?私、買ってきますけど」  奇妙なスーツを着こなす彼に尋ねた。 「いえ、私は食べられないので、お気持ちだけで」  甘い物は苦手なのだろうか?なら私も食べないでおこう。  彼は持っていたボードを一瞥し、一つ咳払いして、言った。 「では最初に、ハンバーガーはお好きですか?」  
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