Chapter 3

4/6
前へ
/22ページ
次へ
それからあたしは、このまま放って置くのも夢見が悪いので仕方なく自分の元にしばらく置くことにした。 幸い最低限の言葉や生活能力は覚えていたらしく、あたしが新しく教えてやることはこの幻想郷のことと、力の扱い方だけだった。 最初は力の扱い方を教えるなんて面倒なことはしたくなかったが、一度自分にも異能があると知った紫は、 何度も何度もあたしに力の扱い方を教えてくれとせがみ、果てにはあたしのことを師匠、”魅魔様”と勝手に慕い始めた。 そこまでやられてこれ以上拒否するのは流石のあたしでも心が痛むし、何より紫の瞳は吸い込まれそうになるぐらい真っ直ぐだった。 結局、力の扱い方を教えることにしたあたしだが、ここに来て重要なことを忘れていた。 紫の名前だ。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加