Chapter 1

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「ええ、何も思い出せないはずなのに、それじゃいけない気がする…… 私の中で引っ掛かっているのよ」 紫は、話しながらも目線はどこか遠くを見るかのように虚で、 まるで心此処に在らずのような状態だった。 「……私は紫様の力によって生み出された式です、なので紫様が力を持たれる前のことはわかりません。 それを知るには…やはりここへ来る前の世界に行くしかないと思います」 「そうね…でも、やっぱり無理ね。 覚えてもいない世界に行くなんて…… ごめんなさいね、またこんな話に付き合せてしまって」 「いいんですよ、主の悩みは私の悩みでもありますからね」 「……ありがとう さて、気分も晴れたし、霊夢のところにでも行きますかっ!」 そう云うと紫は、先程までとは違い普段の調子に戻って 外出の支度を始めた。
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