続・踏み出し

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「飼えなくはないんですが………」 「ないんですが?」 玲苑は少し困った顔を浮かべて答えた。 「他の子がヤキモチを妬くんです」 「あぁ、他の子ね……ペット飼ってたのか」 確かに他のペットを飼ってるなら、ヤキモチを妬くだろう。 「なら他の場所で飼えばいいんじゃないか?」 「あのマンションは全部貸し出してます……他の場所なんて……」 全部貸し出していた事に驚きだ。 知らない間にご近所さんが増えているということだろ? 「それに違う場所だったら構ってあげられなくなっちゃいます」 「まぁなぁ……でもオレにはどうにもできないぞ?」 はっきり言って無理だ。キャパオーバーだ。 いくらオレが千秋の兄でも不可能がある。千秋にはないが。 「仕方がないですよね……父に頼んでみます」 ため息をつきながら、諦めたかのように言う玲苑。 噂の玲苑の父親。会社の名前を娘の名前に変えるぐらい親バカな父親。 玲苑も父親に頼るのは気が引けるのか? 「あ、あの……一緒に頼んでくれませんか?」  
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