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ドキッ
長い睫毛の下の大きな瞳が少し潤んで
つやつやした柔らかそうな唇は微かに開いている。
「べ 別にいいんだよ。 どうせ 本を読んでいただけだから 何か 俺に用かい?」
年甲斐も無くどぎまぎしながら 俺が訊ねると
「あの・・・ 数学教えてくれませんか?」
おずおずと 背後から 問題集を出して 俺に見せた。
「数学か そろそろ難しいところに入るもんな いいよ。じゃあ 居間に下りようか?」
「・・・ここでもいいですか?」
「は?」
「兄さんの部屋でも いいですか?」
一瞬 美幸が何を言ったのか 理解できなくて 俺は固まった。
「私 兄さんの部屋 一度 見てみたかったんです・・・ 駄目ですか?」
「俺の部屋を・・・ マジで?」
こくんと 頷いた 美幸は 少し目元が潤んでいる。
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