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トントントントントントン…
おやっさんの包丁の音と 重い声だけが響き渡る…
「フッ…」
仁が突然笑う。
店主「どないしたんや?」
仁「いや、そんなん聞いたらこの町の事もっと知りたなったなぁ…んで労派言うのは結局日雇い労働者の集まりか?」
店主「元わな…あんたもヤバイ事好きそうな顔しとるなぁ…雰囲気出とるわ(笑)
元は皆日雇い労働者やけど仲本とか労派のトップその側近連中はそうで無い…日雇い労働なんぞやっとれん。と感じる連中の組織や…」
仁「どないして銭稼ぎよるんや?」
店主「アイツらは主に博打や… そこらの日雇い労働者も腐る程 この町には居る… そいつらを食い物にしとる… 将棋から労博色々な事 賭事にして銭を吸い上げとる…」
仁「労博打?」
店主「そや…労博や。
この辺りでは有名な話やで。 労働者の腕っぷしが我よ我よと言わんばかりにドヤ街の真ん中にある公園で殴り合う博打や。 内容はシンプルで勝った方に賭けた人間が銭を得るちゅー内容や…」
スッー
仁が立ち上がり入口の扉から外を見る…
おやっさんはその表情を見て恐怖を感じた…
店主「あ、あんたまさか…」
仁「そや…労派かなんか知らんがワシは復讐するで…仲本っちゅーヤツは殺ったらな気がすまんけど何やら色々話聞いとったら燃えて来たわ…(笑)
長い間 懲役くらってストレスもかなり抱えとるしな…ワシも今更 真面目になんか出来る訳が無い…丁度ええ銭稼ぎにもなる… 片っ端から潰したるわ(笑)…」
窓を覗く仁の表情がその心意気を伺わせる…
店主「や…やめ…」
仁が振り返る…
店主「いや…何もない…これも何かの縁や。またいつでも来てや」
おやっさんは仁が振り返り際に見せた目を見て止めようとした言葉すら失った…
店主「名前まだ聞いてなかったなぁ。名前なんて言いはるんや?」
「仁… 辰己 仁や」
「おやっさん今回の借りは忘れんで…おおきにな。また来るわ」
ガラガラ~
店主「… 辰己 仁か…
とんでも無い目をしたヤツがまた来よったもんや」
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