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「特異捜査課、ですか?」 交通課で勤務していた伊達留実は 課長に呼ばれて会議室にいた。 そこには交通課長のほかに、 刑事部長も座っていた。 そこで留実は、刑事部への異動を 打診された。しかし、異動先は 一課や三課などではなく、 『特異捜査課』というあまり 聞き慣れない部署だった。 その時出た言葉がそれだった。 「そうだ。」 交通課長がそう言うと、横の 刑事部長が口を開いた。 「去年、新設したばかりだ。今回 そこに欠員が出てね。君、確か 以前から刑事課への異動願、 出してたよね?」 留実は頷いた。 「どうだろう?この機会に念願の 刑事になってみないかい?」 その言葉に留実は、胸が躍るのを 感じたが、それは顔に出さない ようにしながら首を縦に振った。 返事を聞いた二人は、一枚の 書類を取り出し、判を押して 留実に渡した。書類には、 『伊達留実 巡査部長 特異捜査課への異動を命ず』 と書いてあった。 留実はその辞令を受け取ると、 二人に礼をして部屋を出た。 廊下に出て扉を閉めた留実は、 小さくガッツポーズをしながら 交通課へ戻った。
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