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次の日、留実はパンツスーツ姿で 交通課へ出向き、荷物をまとめて そこを出た。 それから人事部のほうへ行って、 特異捜査課の場所を聞いた。 そこは、四階にある第一資料室の 隣だった。 留実は場所を聞いた時、さびれた 窓際部署に思え、少しショックが あった。 しかし、いざ四階へ行くと、 そこには両開きの自動ドアが 設置されていて、若干、イメージ との違いを感じた留実だったが、 プレートを見るとたしかに、 『特異捜査課』と明記されて いた。 留実はその自動ドアを開け、 中へと入っていった。 室内もガラス張りの部屋が幾つか あり、IT会社のオフィスを 留実にイメージさせ、さっきまで 留実の抱いていた、暗くて、 薄暗いというイメージはすぐに 払拭された。 「あ、あの・・・」 ミーティングをやっているのを 見つけ、そこへ声をかけようと したが、思うように声が出ず、 喉に詰まったような声になった。 そんな留実の声に、ミーティング の中心にいる男が気付いた。 「君が、伊達留実さんか?」 その男がそう言うと、留実は 小刻みに頷いた。
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