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「お茶とコーヒー、どちらが いいですか?」 ロッカーに私物を入れていると、 光昭が聞いてきた。 「じゃあ、コーヒーをお願い します。」 光昭はオーダーを聞くと、給湯室 のほうへ入って行った。 私物を入れ終わり、適当な椅子に 座ると、良太が近付いてきた。 「前田良太です。よろしく。」 明るい声で改めて挨拶された声に 対して、留実は立ち上がって 軽い礼をした。 「何才?」 「27です。」 「タメじゃん。」 良太は若干、声が弾んでいた。 「君、彼氏とかいるの?」 「は!?」 良太のいきなりの質問に、留実は 間髪入れず、大きな声を出した。 横から晴男が「前田。」と止めた。 良太は笑いながら 「ゴメンゴメン。若い女の人って 久しぶりだったからさ。今、 ここにいる女性って一人だけ だし。しかも、オバサン・・・」 そう言った直後、良太の首筋に シャーペンの芯が刺さった。 良太は、 「イッタッ!」 と声を張り上げていた。 「誰がオバサンだって?」 いつの間にか、良太の後ろに 立っていた女性が、そう囁いて いた。良太は上擦った声で、 「スイマセン・・・」 と返した。
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