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女性は留実のほうに向き直ると、 「森香です。年はまだ33です。 よろしくね。」 年齢の部分を若干強調しながら 留実に握手を求めてきた。留実は おそるおそる握手を交わした。 その時、入口のドアが開いて ダンボールを三つ乗せた台車を 押して若い男が入ってきた。 「課長、今回のコールドケースの 資料、持ってきましたよ。」 若い男は、台車を止めるとそう 叫んだ。すぐに、香と良太が いそいそと台車からダンボールを 取っていった。 若い男は留実と目が合った。 留実は、 「はじめまして。今日付けで こちらに配属になった伊達留実 です。」 「こちらこそはじめまして。 明智直也です。」 直也は腰低く言った。 「失礼ですが、年齢は?」 「27です。」 留実がそう答えると、直也の口 から小さく舌打ちが聞こえた。 「え?」 留実は舌打ちに反応した。 「気にすることないよ。後輩が 来ることを期待してただけ だから。あ、ちなみにソイツは 25ね。」 横から入って来たのは、良太 だった。 直也のほうを見ると、ちょっと だけ、拗ねているようにも 見えた。
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