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「そんなのでやって行けるの?」
「そりゃあ、大変だわよ。ただ、経営と言うよりは家庭のやりくりに近いわ。みんな家族だから」
志津子の声は明るい。
人生に充実している感じだった。
「どうして私を入居させてくれないの?」
美代子は年甲斐もなく、志津子に甘えてみた。
「……美代子さんは、お友達だからよ……。入居したら家族になるの。死ぬまで一緒に過ごす事になるのよ」
志津子の大袈裟な言い種に、美代子は言い様のない気持ち悪さを感じた。
しかし、一人で生きていくのには疲れていた。
「もう一人は嫌なのよ……」
「例えば、他の入居者に嫌な人がいても、死ぬまで家族としてやっていかなければならないの。その覚悟があるなら……」
志津子に考える時間を一晩与えられたが、美代子の気持ちは既に決まっていた。
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