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降りだした雨も手伝ったのかもしれない。
男は木製のドアを開け、スチール缶でできた傘立てに傘をそっと立てかけた。
ダークウッド調の内装が、老舗の雰囲気を醸し出しており、店に入るなりマスターの低いバストーンが迎えてくれた。
木の暖かみが一気に増したような気がして、男は迷いなく手前から二番目のストゥールに腰かける。
店内には他に客がいなかったが、一見客であるにも関わらず、気まずさはなかった。
女性ボーカルのブラックミュージックが流れ、澄んだ声が耳に心地よい。
カウンターだけの店で、奥には大画面、手前には20インチくらいのテレビ画面でニュースの映像だけが流れていた。
最近のテレビはテロップを多用するので、音がなくても困らない。
テレビが流れている点は、バーとしては減点だったが、一人の夜には丁度よかった。
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