始まりの旋律

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出てきた券をとり、もう一度券売機を見てみるが、味はどこにも書かれていなかった。 買う前に気付くべきであった。 「まぁ、いいか」 口ではそう言いながらも、内心少し楽しみに思いつつ、券を持ってカウンターに向かう。 それに気付いた学食のおばさんが僕のほうに向かってくる。 「お願いします」 言いながら目の前にきたおばさんに券を渡す。 「ラーメン一つね。ちょっと待っててね」 と言い残し、おばさんは自分がもと居た位置に戻って行った。 僕はその場で待っていた。が、鈴音のことが少し気になったのでそちらを少しみてみる。鈴音は先ほど買ったBランチにはまだ手をつけていなかった。 そのため顔は満面の笑み、というよりにやけていて、周りの生徒は自分達の会話に夢中で気付いていなかったが、鈴音のその顔は、変という一言で片付けられるほどに酷かった。 そんな鈴音の観察をしていると 「ラーメン一つ、お待たせいたしました」
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